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太宰 治

あさましきもの

読み手:緒方 朋恵(2011年)

あさましきもの

著者:太宰 治 読み手:緒方 朋恵 時間:8分42秒

 賭弓に、わななく/\久しうありて、はづしたる矢の、もて離れてことかたへ行きたる。

 こんな話を聞いた。
 たばこ屋の娘で、小さく、愛くるしいのがいた。男は、この娘のために、飲酒をやめようと決心した。娘は、男のその決意を聞き、「うれしい。」と呟いて、 うつむいた。うれしそうであった。「僕の意志の強さを信じて呉れるね?」男の声も真剣であった。娘はだまって、こっくり首肯いた。信じた様子であった・・・

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