宮城 道雄 作
読み手:富田 美苗(2013年)
私が上野の音楽学校に奉職することになった時、色々話があるからというので、或る日学校に呼ばれて行ったことがある。いよいよ講師としての辞令を渡された 時、乗杉校長が、この学校は官立であるから、官吏という立場において体面を汚さぬようなことは、どんなことをしてもよいが商事会社の重役になってはいけぬ と言った。
私も長年弟子を教えてはいたが、学校の先生になったのは初めてなので、非常に珍しくまた嬉しい気持がした。第二に嬉しかったのは、鉄道の割引があるので、何だかむやみに嬉しくて、その当時は何処か旅行がしてみたくてたまらなかった・・・
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