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池田 輝方

夜釣の怪

読み手:野村 洋二(2013年)

夜釣の怪

著者:池田 輝方 読み手:野村 洋二 時間:3分50秒

 私の祖父は釣が所好でして、よく、王子の扇屋の主人や、千住の女郎屋の主人なぞと一緒に釣に行きました。
 これもその女郎屋の主人と、夜釣に行った時の事で御座います。
 川がありまして、土堤が二三ヶ所、処々崩れているんだそうで御座います。
 其処へこう陣取りまして、五六間離れた処に、その女郎屋の主人が居る。矢張り同じように釣棹を沢山やって、角行燈をつけてたそうです。
 祖父が釣をしていると、川の音がガバガバとしたんです。
 それから、何だろうかと思っていると、旋てその女郎屋の主人が、釣棹を悉皆纏めて、祖父の背後へやって来たそうです・・・

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