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新美 南吉

里の春、山の春

読み手:石橋 玲(2013年)

里の春、山の春

著者:新美 南吉 読み手:石橋 玲 時間:3分5秒

 野原にはもう春がきていました。
 桜がさき、小鳥はないておりました。
 けれども、山にはまだ春はきていませんでした。
 山のいただきには、雪も白くのこっていました。
 山のおくには、おやこの鹿がすんでいました。
 坊やの鹿は、生まれてまだ一年にならないので、春とはどんなものか知りませんでした。
「お父ちゃん、春ってどんなもの。」
「春には花がさくのさ。」
「お母ちゃん、花ってどんなもの。」
「花ってね、きれいなものよ。」
「ふウん。」・・・

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