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ハンス・クリスチャン・アンデルセン  矢崎 源九郎

人魚の姫

読み手:齋藤 こまり(2024年)

人魚の姫

著者:ハンス・クリスチャン・アンデルセン/矢崎 源九郎 訳 読み手:齋藤 こまり 時間:1時間46分5秒

 海のおきへ、遠く遠く出ていきますと、水の色は、いちばん美しいヤグルマソウの花びらのようにまっさおになり、きれいにすきとおったガラスのように、すみきっています。けれども、そのあたりは、とてもとても深いので、どんなに長いいかり綱をおろしても、底まで届くようなことはありません。海の底から、水の面まで届くためには、教会の塔を、いくつもいくつも、積みかさねなければならないでしょう。そういう深いところに、人魚たちは住んでいるのです。
 みなさんは、海の底にはただ白い砂地があるばかりで、ほかにはなんにもない、などと思ってはいけません。そこには、たいへんめずらしい木や、草も生えているのです。そのくきや葉は、どれもこれもなよなよしています・・・

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