中野 鈴子 作
読み手:アン荻野(2025年)
妹は出かけて行った
一か月に一回の面会を 三か月のばして やっと出かけて行った
タンスの底の しめっぽくなっているきものを引っぱり出し
右と左のびっこの足袋をはいて――
妹はモチ米を一斗さげて行った
米を代えて汽車賃をつくるためだった
停車場 汽車の中 歩く道にもヤミ米テキハツの警官が立っている
妹は
一斗の米をふた包みにし、軽い風呂しき包みにみせかけ奥さん風に停車場を降りた・・・
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