グリム 作 矢崎 源九郎 訳
読み手:こがわ めいすい(2025年)
ある晴れわたった日のことでした。神さまは天国のお庭を散歩なさろうとお思いになって、使徒や聖者たちをみんなおつれになりました。そのため、天国には聖ペテロさまがひとりしかのこっていませんでした。
神さまは、ごじぶんのるすのあいだは、だれもいれてはいけない、と、聖ペテロさまにおいいつけになりました。それで、聖ペテロさまは門のところに立って、番をしておりました。
すると、まもなく、だれかが門をトントンとたたきました。ペテロさまは、
「だれかね。なんの用事だね。」
と、たずねました。
「わたくしは、まずしい正直な仕立屋でございます。どうかおいれくださいまし。」・・・
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