海野 十三 作
読み手:二宮 正博(2025年)
「われらの棲んでいる球形の世界が破壊するのはいつのことなのであろうか? 天文学者の説くところによれば、これはわれらの世界が他の遊星と衝突し、われもかれもが煙のごとくに飛散して消滅するときがこの球形体の最後であろうが、それはおそらく今から数百億年後のことであろうという。しかしそれは真赤な嘘だ。われらの棲める世界が破壊されるべきときはまさにただいまから十分間後に迫っているのだ! 驚いてはいけない……」
ここまで聴くと天野祐吉は思わず身体を受信機のほうへのめらせて両手で両耳受話器(ヘッドフォン)を押えた。嘘にも冗談にもせよ、それはあまりに奇怪なことである。
奇怪といえば天野祐吉がこうして地球以外の他の遊星に棲息している生物の喋っている言葉を聞いていることからしてはなはだ奇怪であって、・・・
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