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江戸川 乱歩 作

鏡地獄

読み手:イトー ゲンヤ(2025年)

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鏡地獄

著者:江戸川 乱歩 読み手:イトー ゲンヤ 時間:51分38秒

「珍らしい話とおっしゃるのですか、それではこんな話はどうでしょう」
 ある時、五、六人の者が、怖い話や、珍奇な話を、次々と語り合っていた時、友だちのKは最後にこんなふうにはじめた。ほんとうにあったことか、Kの作り話なのか、その後、尋ねてみたこともないので、私にはわからぬけれど、いろいろ不思議な物語を聞かされたあとだったのと、ちょうどその日の天候が春の終りに近い頃の、いやにドンヨリと曇った日で、空気が、まるで深い水の底のように重おもしく淀んで、話すものも、聞くものも、なんとなく気ちがいめいた気分になっていたからでもあったのか、その話は、異様に私の心をうったのである。話というのは、・・・

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