小川 未明 作
読み手:中田 真由美(2025年)
チューリップは、土の中で、お母さんから、世の中に出てからの、いろいろのおもしろい話をきいて、早く芽を出したいものと思っていました。
「ちょうちょうは、どんなに、美しいの?」と、お母さんにたずねたりしました。
「そんなに、いそいではいけません。いい時分になったら、お母さんがいってあげます。それまでは、おとなしくして、待っておいでなさい。」と、お母さんは、さとされました。
けれど、今年出るチューリップは、がまんしていることができませんでした。
「お母さん、もう、芽を出してもいいでしょう。」といいました。
「いいえ、まだ、いけません。」と、お母さんは許されなかったのです。
けれど、とうとうチューリップは、がまんができなくなって、銀色のかわいらしい芽を土の上へ出しました・・・
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