楠山 正雄 作
読み手:入江 安希子(2025年)
一
頼光が大江山の鬼を退治してから、これはその後のお話です。
こんどは京都の羅生門に毎晩鬼が出るといううわさが立ちました。なんでも通りかかるものをつかまえては食べるという評判でした。
春の雨のしとしと降る晩のことでした。平井保昌と四天王が頼光のお屋敷に集まって、お酒を飲んでいました。みんないろいろおもしろい話をしているうちに、ふと保昌が、
「このごろ羅生門に鬼が出るそうだ。」
といい出しました。すると貞光も、
「おれもそんなうわさをきいた。」
といいました。
「それはほんとうか。」
と季武と公時が目を丸くしました。綱は一人笑って、
「ばかな。鬼は大江山で退治てしまったばかりだ。そんなにいくつも鬼が出てたまるものか。」
といいました・・・
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