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窪田 空穂 作

花

読み手:横山 宜夫(2025年)

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花

著者:窪田 空穂 読み手:横山 宜夫 時間:5分25秒

 何んな花でもながく見ていれば好きになって来るものだという人がある。自然というものは親しむほど趣の加わって来るものであることを思うと、そうかも知れないという気がする。然し本当に好きになりうる花は、初め一と目見た時から好いたものである。又本当に好きなものがあると、その外の多くを求めようとしない心もある。その意味で私は多くの草花を並べようとは思わない。これだけで沢山だ、来年の秋にはこれをもう少し多く咲くようにしてやろうと思って、椿の蔭のいささかの湿った地に咲いている秋海棠の花を見ている。
 秋海棠ほどいいものはない。春、一と葉を出した時からもういい・・・

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