中野 鈴子 作
読み手:河内 麻友子(2025年)
わたしは途中で一人の女とすれちがった
女のかおは白粉と紅で白く赤く美しかった
背が高くふっくら円かった
年は二十三四
そして藤色チリメンの長袖
厚いフェルト草履の大股でトットッと歩いて行った
それは大変に自慢そうで
からだ全体が得意で一ぱいのようだった
わたしは洗いざらしの浴衣を着て
青じけた顔をうつむけて通りすぎた
わたしは顔をうつむけて通りすぎた
そうしてわたしは振りかえった・・・
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