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岡本 かの子 作

ひばりの子

読み手:堀口 直子(2025年)

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ひばりの子

著者:岡本 かの子 読み手:堀口 直子 時間:6分33秒

 今年八つの一郎さんと、六つのたえ子さんとを、気だての優しい婆やが、一人でお守りをしておりました。その婆やが或日のこと、お里へまいりました時、かわいいかわいいひばりの子を一つ袂のなかへ入れてかえりました。それを見ると、一郎さんが、
「おやっ!」
と云って婆やのそばへ駈けよりました。
「あらっ!」
とたえ子さんも駈け寄ってのぞきこみました。
 婆やはあまり二人の声が大へんなので、あとずさりをしながらにこにこして、
「まあ、ま、そんなにおさわぎになってはいけません。これはね、婆やが今日、西田甫の細道をとおると、どこやらで、ちち、ちち、と可愛い声がしますから、ふりかえって見ますと、すぐ道端の積藁のかげに、こんな小さなひばりの子がひとつ、淋しそうにうずくまって鳴いておりました。あんまり淋しそうでしたし、こんなに可愛いでしょう、ですから婆やも急にほしくなって、そっと抱いて来てしまったのですよ・・・

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