竹久 夢二 作
読み手:篠原 みのり(2026年)
それは、土曜日の晩でした。
春太郎は風呂屋から飛んで帰りました。春太郎が、湯から上って着物をきていると、そこの壁の上にジャッキイ・クウガンが、ヴァイオリンを持って、街を歩いている絵をかいた、大きなポスターが、そこにかかっているのです。
十二月一日より
ジャッキイ・クウガン 街の子
キネマ館にて
と書いてあるのです。それを見た春太郎は、大急ぎで帯をぐるぐる巻きにして、家へ飛んでかえりました。
春太郎は、ジャッキイ・クウガンが大好きで、ジャッキイの写真はたいてい見ていました。だからもう今では、ジャッキイの顔を見ると、長い間のお友達のような気がするのでした。
「お母様、いってもいいでしょうねえ」
春太郎はそう言って、お母様にせがみました・・・
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