青空朗読ロゴ

小山内 薫 作

梨の実

読み手:fin(2026年)

ご利用のブラウザではこの音声を再生できません。

梨の実

著者:小山内 薫 読み手:fin 時間:12分37秒

 私がまだ六つか七つの時分でした。
 或日、近所の天神さまにお祭があるので、私は乳母をせびって、一緒にそこへ連れて行ってもらいました。
 天神様の境内は大層な人出でした。飴屋が出ています。つぼ焼屋が出ています。切傷の直ぐ癒る膏薬を売っている店があります。見世物には猿芝居、山雀の曲芸、ろくろ首、山男、地獄極楽のからくりなどという、もうこの頃ではたんと見られないものが軒を列べて出ていました。
 私は乳母に手を引かれて、あっちこっちと見て歩く内に、ふと社の裏手の明き地に大勢人が集まっているのを見つけました・・・

Copyright© 一般社団法人 青空朗読. All Rights Reserved.