中島 敦 作
読み手:水野 久美子(2026年)
ネウリ部落のシャクに憑きものがしたという評判である。色々なものがこの男にのり移るのだそうだ。鷹だの狼だの獺だのの霊が哀れなシャクにのり移って、不思議な言葉を吐かせるということである。
後に希臘人がスキュテイア人と呼んだ未開の人種の中でも、この種族は特に一風変っている。彼等は湖上に家を建てて住む。野獣の襲撃を避けるためである。数千本の丸太を湖の浅い部分に打込んで、その上に板を渡し、そこに彼等の家々は立っている。床のところどころに作られた落し戸を開け、籠を吊して彼等は湖の魚を捕る・・・
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