坂口 安吾 作
読み手:吉江 美也子(2014年)
伝統の否定と一口に言うけれども、伝統は全て否定しなければならぬというものではなくて、すでに実質を失いながら虚妄の空位を保って信仰的な存在をつゞけ ていることが反省され否定されなければならぬというだけだ。実質あるものは否定の要なく、又、伝統に限らず、全て、実質を失いながら虚妄の権威を保つもの は、反省され、否定される必要があるだけだ。
時代の流行というものは、常に多分に、伝統と同じぐらい空虚なものであり易い・・・
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