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林 芙美子

狐物語

読み手:入江 安希子(2014年)

狐物語

著者:林 芙美子 読み手:入江 安希子 時間:15分50秒

 四國のある山の中に、おもしろい狐がすんでいました。
 いつも、ひとりで歩くことがすきでしたが、ある雨の日、いつものように餌をあさってぼつぼつ歩いていますと、男の子が四五人、がやがや話しながら山を下っていました。
 狐は、時々人間をみたことがあったし、人間は二本の足で立って歩いているので、狐は珍らしくて仕方がないのです。狐のおかあさんは、「人間のところへ行 くとひどいめにあうから、人間のところへぜったいに近づいてはいけませんよ。」と、いつもいうのですけれど、狐は、人間の姿がおかしくて仕方がなかった し、第一、ひょろひょろと、立って歩いているのがおかしくてしかたがないのです・・・

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