宮沢 賢治 作
読み手:入江 安希子(2015年)
楢夫は夕方、裏の大きな栗の木の下に行きました。その幹の、丁度楢夫の目位高い所に、白いきのこが三つできていました。まん中のは大きく、両がわの二つはずっと小さく、そして少し低いのでした。
楢夫は、じっとそれを眺めて、ひとりごとを言いました。
「ははあ、これがさるのこしかけだ。けれどもこいつへ腰をかけるようなやつなら、すいぶん小さな猿だ。そして、まん中にかけるのがきっと小猿の大将で、両わきにかけるのは、ただの兵隊にちがいない・・・
© & ℗ 一般社団法人 青空朗読. All Rights Reserved.
Unauthorized duplication and distribution are strictly prohibited.
(掲載の音声、文章、デザイン等の無断転載・公衆送信を禁じます)