小川 未明 作
読み手:緒方 朋恵(2015年)
一
人魚は、南の方の海にばかり棲んでいるのではありません。北の海にも棲んでいたのであります。
北方の海の色は、青うございました。ある時、岩の上に、女の人魚があがって、あたりの景色を眺めながら休んでいました。
雲間から洩れた月の光がさびしく、波の上を照していました。どちらを見ても限りない、物凄い波がうねうねと動いているのであります・・・
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