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夏目 漱石

「夢十夜」「第一夜」

読み手:高橋 律子(2015年)

「夢十夜」「第一夜」

著者:夏目 漱石 読み手:高橋 律子 時間:8分55秒

   第一夜

 こんな夢を見た。
 腕組をして枕元に坐っていると、仰向に寝た女が、静かな声でもう死にますと云う。女は長い髪を枕に敷いて、輪郭の柔らかな瓜実顔をその中に横たえてい る。真白な頬の底に温かい血の色がほどよく差して、唇の色は無論赤い。とうてい死にそうには見えない。しかし女は静かな声で、もう死にますと判然云った・・・

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