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芥川 龍之介

文章と言葉と

読み手:小川 幸香(2016年)

文章と言葉と

著者:芥川 龍之介 読み手:小川 幸香 時間:3分18秒

   文章

 僕に「文章に凝りすぎる。さう凝るな」といふ友だちがある。僕は別段必要以上に文章に凝つた覚えはない。文章は何よりもはつきり書きたい。頭の中にあるものをはつきり文章に現したい。僕は只それだけを心がけてゐる。それだけでもペンを持つて見ると、滅多にすらすら行つたことはない。必ずごたごたした文章を書いてゐる。僕の文章上の苦心といふのは(もし苦心といひ得るとすれば)そこをはつきりさせるだけである・・・

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