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河井 酔茗

春の詩集

読み手:加納 恵美子(2017年)

春の詩集

著者:河井 酔茗 読み手:加納 恵美子 時間:1分52秒

あなたの懐中にある小さな詩集を見せてください
かくさないで――。

それ一冊きりしかない若い時の詩集。
隠してゐるのは、あなたばかりではないが
をりをりは出して見せた方がよい。

さういふ詩集は
誰しも持つてゐます。

をさないでせう、まづいでせう、感傷的でせう
無分別で、あさはかで、つきつめてゐるでせう。

けれども歌はないでゐられない
淋しい自分が、なつかしく、かなしく、
人恋しく、うたも、涙も、一しよに湧き出た頃の詩集・・・

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