小川 未明 作
読み手:水谷 ケイコ(2017年)
町も、野も、いたるところ、緑の葉につつまれているころでありました。
おだやかな、月のいい晩のことであります。しずかな町のはずれにおばあさんは住んでいましたが、おばあさんは、ただひとり、窓の下にすわって、針しごとをしていました。
ランプの火が、あたりを平和に照らしていました。おばあさんは、もういい年でありましたから、目がかすんで、針のめどによく糸が通らないので、ランプの 火に、いくたびも、すかしてながめたり、また、しわのよった指さきで、ほそい糸をよったりしていました・・・
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