戻る

戻る

フランツ・カフカ  大久保 ゆう

道理の前で

読み手:由良 瓏砂(2017年)

道理の前で

著者:フランツ・カフカ/大久保 ゆう 訳 読み手:由良 瓏砂 時間:7分1秒

 道理の前でひとりの門番が立っている。
 その門番の方へ、へき地からひとりの男がやってきて、道理の中へ入りたいと言う。
 しかし門番は言う。
 今は入っていいと言えない、と。
 よく考えたのち、その男は尋ねる。
 つまり、あとになれば入ってもかまわないのか、と。
「かもしれん。」
 門番が言う。
「だが今はだめだ。」
 道理への門はいつも開け放たれていて、そのわきに門番が直立している。
 そこで男は身をかがめて、中をのぞいて門の向こうを見ようとした。
 そのことに気づいた門番が笑って、こう言った・・・

Copyright© 一般社団法人 青空朗読. All Rights Reserved.