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小川 未明

金の輪

読み手:谷岡 理香(2017年)

金の輪

著者:小川 未明 読み手:谷岡 理香 時間:7分25秒

 太郎は長いあいだ、病気でふしていましたが、ようやく床からはなれて出られるようになりました。けれどまだ三月の末で、朝と晩には寒いことがありました。
 だから、日のあたっているときには、外へ出てもさしつかえなかったけれど、晩がたになると早く家へはいるように、おかあさんからいいきかされていました。
 まだ、さくらの花も、ももの花も咲くには早うございましたけれど、うめだけが、かきねのきわに咲いていました。そして、雪もたいてい消えてしまって、ただ大きな寺のうらや、畑のすみのところなどに、いくぶんか消えずにのこっているくらいのものでありました。
 太郎は、外に出ましたけれど、往来にはちょうど、だれも友だちが遊んでいませんでした・・・

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