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紫式部 、与謝野 晶子

「源氏物語」「夕顔」

読み手:麻中 恒子(2017年)

「源氏物語」「夕顔」

著者:紫式部/与謝野 晶子 訳 読み手:麻中 恒子 時間:1時間48分9秒

うき夜半の悪夢と共になつかしきゆめ
もあとなく消えにけるかな(晶子)

 源氏が六条に恋人を持っていたころ、御所からそこへ通う途中で、だいぶ重い病気をし尼になった大弐の乳母を訪ねようとして、五条辺のその家へ来た。乗ったままで車を入れる大門がしめてあったので、従者に呼び出させた乳母の息子の惟光の来るまで、源氏はりっぱでないその辺の町を車からながめていた。惟光の家の隣に、新しい檜垣を外囲いにして、建物の前のほうは上げ格子を四、五間ずっと上げ渡した高窓式になっていて、新しく白い簾を掛け、そこからは若いきれいな感じのする額を並べて、何人かの女が外をのぞいている家があった。高い窓に顔が当たっているその人たちは非常に背の高いもののように思われてならない。どんな身分の者の集まっている所だろう。風変わりな家だと源氏には思われた・・・

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