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寺田 寅彦

伊吹山の句について

読み手:宮澤 賢吉(2018年)

伊吹山の句について

著者:寺田 寅彦 読み手:宮澤 賢吉 時間:9分16秒

 昨年三月の「潮音」に出ている芭蕉俳句研究第二十四回の筆記中に
  千川亭
 おりおりに伊吹を見てや冬ごもり

という句について、この山の地勢や気象状態などが問題になっていて、それについていろいろ立ち入った研究があったようである。私もこの問題については自分の専門の学問のほうからも特別の興味を感じたので、それについての私の考えを、その後小宮君に話した事があった。当時その事について何か書いてみたらどうかという話もあったが、充分具体的な材料が手もとになかったから、ついそのままになっていたのである。近ごろ思い出して、急に材料を捜しにかかったが、容易に見つからず、とうとう彦根測候所に頼んで、同所の筒井百平氏から、必要な気象観測のデータを送っていただいて、それでやっと少しはまとまった事を考えるだけの資料ができた・・・

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