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小川 未明

てかてか頭の話

読み手:池戸 美香(2018年)

てかてか頭の話

著者:小川 未明 読み手:池戸 美香 時間:8分6秒

 ある田舎に、おじいさんの理髪店がありました。おじいさんは、もうだいぶ年をとっていまして、脊が曲がっていました。いいおじいさんなものですから、みんなに、おじいさん、おじいさんと慕われていました。
 ちょうど、夏の昼過ぎのことであります。お客が一人もなかったので、おじいさんは、居眠りをしていました。
 家の外には、きらきらとして暑そうに日の光がさしていました。往来の土は乾ききって、石の頭までが白くなっていました。あまりあついとみえて、犬一ぴき通っていませんでした。よく遊びにくる近所の子供らも、みんな昼寝をしているとみえて姿を見せません。ただせみが、あちらの森の方で鳴いているのが聞こえてきたばかりでした。
 白髪頭のおじいさんは、いい気持ちで、こっくり、こっくりと腰かけて居眠りをしながら夢を見ていました・・・

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