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北大路 魯山人

数の子は音を食うもの

読み手:三田 朱美(2019年)

数の子は音を食うもの

著者:北大路 魯山人 読み手:三田 朱美 時間:6分7秒

 お正月になると、大概の人は数の子を食う。私は正月でなくても、好物として、ふだんでもよろこんで食っている。なかなか美味いものだ。
 さて、どんな味があるかと言われてもちょっと困るが、とにかく美味い。しかし、考えてみると、数の子を歯の上に載せてパチパチプツプツと噛む、あの音の響きがよい。もし数の子からこの音の響きを取り除けたら、到底あの美味はなかろう。
 音が味を助けるとか、音響が味の重きをなしているものには、魚の卵などのほかに、海月、木耳、かき餅、煎餅、沢庵など。そのほか、音の響きがあるために美味いというものを数え上げたら切りがない。
 もともとたべものは、舌の上の味わいばかりで美味いとしているのではない・・・

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