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堀 辰雄

大和路・信濃路

「死者の書」古都における、初夏の夕ぐれの対話

読み手:阿蘇 美年子(2019年)

大和路・信濃路
「死者の書」古都における、初夏の夕ぐれの対話

著者:堀 辰雄 読み手:阿蘇 美年子 時間:18分9秒

 客 なんともいえず好い気もちだね。すこし旅に疲れた体をやすめながら、暮れがたの空をこうやって見ているのは。
 主 京都もいまが一番いいんだ。この頃のように澄み切った空のいろを見ていると、すっかり京都に住みついている僕なんぞも、なんだかこう旅さきにいるような気がしてきてならないね。まあ、そういう気もちになるだけでもいいからな……それにしても、君はこの頃はよくこちらの方へ出てくるなあ。いつか話していた仕事はその後はかどっているのかい。何か、大和のことを書くとかいっていたが……
 客 いや、あれはあのままだ。なかなか手がかりがつかないんだ・・・

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