小川 未明 作
読み手:根津 恵美子(2019年)
かえるというものは、みんなおとなしいものですけれど、この大きなひきがえるは、たくさんの小さなひきがえるのお母さんであっただけに、いちばんおとなしいのでありました。
町の裏は、坂になって、細い道がつづいていました。道の両側はやぶになっていましたので、そこに、かえるはすんでいたのであります。去年のちょうどいまごろにも、このお母さんのかえるは、坂の通りへ出て、小さな子供たちのぴょんぴょんおもしろそうに飛ぶのをながめていました。
往来を歩く人は、みんなこのかえるを見てゆきました。
「かわいらしいかえるだこと、踏まないようにしてゆきましょうね。」と、女の子たちはいって、避けて歩いてゆきました・・・
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