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尾上 梅幸

薄どろどろ

読み手:宮澤 賢吉(2019年)

薄どろどろ

著者:尾上 梅幸 読み手:宮澤 賢吉 時間:5分33秒

 幽霊の家柄でいて、幽霊種がないというのはちと妙なものですが、実際私の経験という方からいっては、幽霊談皆無といっても可いのです、尤もこれは幽霊でない、夢の事ですが、私を育ててくれた乳母が名古屋に居まして、私が子供の内に銀杏が好で仕様がないものだから、東京へ来ても、わざわざ心にかけて贈ってくれる。ああ乳母の厚意だと思って、いつもおいしく喰べていると、ある年の事、乳母が病気で、今度は助からないかも知れないと言って来た。するとこれが夢に来て、私に銀杏を持って来て、くれたと思うと目を覚ましたが、やがて銀杏が小包で届いて来た・・・

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