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中野 鈴子

一家

読み手:水野 礼子(2020年)

一家

著者:中野 鈴子 読み手:水野 礼子 時間:5分13秒

わたしの祖先は代々が百姓であった
八町はなれた五万石の城下町
ゆきとどいた殿様のムチの下で這いまわった
少しのことに重いチョウバツ
百たたきの音が夜気を破った

天保に生まれた祖父はいつも言った
百姓のようなつらい仕事があろうか
味無いもの食って着るものも着ず
銭ものこらん
金づちの川流れだ

わたしの父母は五人の子供を育てた
父母は子供を百姓にさせる気はなかった・・・

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