三好 十郎 作
読み手:成 文佳(2020年)
自分の頭が混乱したり、気持がよわくなったり、心が疲れたりしたときには、私はよく歩きに出かけます。
それはたいがいのばあい、そういう自分の状態をなおそうとハッキリ思ってすることではなく、本能的にすることです。ほとんど無意識のうちに私は立ちあがり、かんたんな身支度をして家を出て、外を歩いています。それはまず、私が外気の中にいることが好きなこと、風景を見ることが好きなこと、知らない人びとの姿や顔を眺めることが好きなことなどのせいもあるらしいが、それだけではないようです。また、ふつうの言う意味の散歩ともすこしちがいます。
まず、いちばん最初にくるのは、それまで自分をしばっていたいろいろのキズナからときはなれた感じです・・・
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