閉じる

閉じる

ペロー  楠山 正雄

眠る森のお姫さま

読み手:野村 明子(2020年)

眠る森のお姫さま

著者:ペロー/楠山 正雄 訳 読み手:野村 明子 時間:30分15秒

   一

 むかしむかし、王様とお妃がありました。おふたりは、こどものないことを、なにより悲しがっておいでになりました。それは、どんなに悲しがっていたでしょうか、とても口ではいいつくせないほどでした。そのために、世界じゅうの海という海を渡って、神様を願をかけるやら、お寺に巡礼をするやらで、いろいろに信心をささげてみましたが、みんな、それはむだでした。
 でもそのうち、とうとう信心のまことがとどいて、お妃に、ひいさまの赤ちゃんが生まれました。それでさっそく、さかんな洗礼の式をあげることになって、お姫さまの名づけ親になる教母には、国じゅうの妖女が、のこらず呼び出されました。その数は、みんなで七人でした・・・

Copyright© 一般社団法人 青空朗読. All Rights Reserved.