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中原 中也

山羊の歌 サーカス

読み手:松岡 初子(2021年)

山羊の歌 サーカス

著者:中原 中也 読み手:松岡 初子 時間:1分40秒

幾時代かがありまして
  茶色い戦争ありました

幾時代かがありまして
  冬は疾風吹きました

幾時代かがありまして
  今夜此処での一と殷盛り
    今夜此処での一と殷盛り

サーカス小屋は高い梁
  そこに一つのブランコだ
見えるともないブランコだ

頭倒さに手を垂れて
  汚れ木綿の屋蓋のもと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

それの近くの白い灯が
  安値いリボンと息を吐き

観客様はみな鰯
  咽喉が鳴ります牡蠣殻と
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん


     屋外は真ッ闇 闇の闇
     夜は劫々と更けまする
     落下傘奴のノスタルヂアと
     ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

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