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土田 耕平

読み手:川村 ゆかり(2022年)

著者:土田 耕平 読み手:川村 ゆかり 時間:5分54秒

 私の村は「柿の木の村」でした。家といふ家のまはりには、大きな小さな柿の木が、立ち並んでゐました。
 夏は、村ぢゆうが深い青葉につゝまれ、秋はあざやかな紅葉に染りました。紅葉がちつてうつくしく色づいた実が、玉をつづつてゐるのを見るのは、どんなにたのしかつたでせう。
 私の家の庭には、大きな柿の木が幾本もありましたので、家内だけで食べつくすわけにはいきません。山浦のお百姓さんが、稲のとりいれがすんだ時分に、馬をひいて、買ひにきました。
「こんちは、今年もきたぜ。」
 山浦のお百姓さんは、ふとい声で、あいさつして、庭の柴戸口から入つてきました。
「どう/\。」・・・

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