楠山 正雄 作 ねずみの嫁入り読み手:福井 一恵(2012年) |
むかし、むかし、ある家のお倉の中に、お米を持って、麦を持って、粟を持って、豆を持って、たいそうゆたかに暮らしているお金持ちのねずみが住んでおりました。
子供がないので神さまにお願いしますと、やっと女の子が生まれました。その子はずんずん大きくなって、かがやくほど美しくなって、それはねずみのお国でだれ一人くらべるもののない日本一のいい娘になりました。
こうなると、もうねずみの仲間には見わたしたところ、とても娘のお婿さんにするような者はありませんでした。ねずみのおとうさんとおかあさんは、
「うちの娘は日本一の娘なのだから、何でも日本一のお婿さんをもらわなければならない。」
と言いました・・・