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宮城 道雄

声と人柄

読み手:富田 美苗(2013年)

声と人柄

著者:宮城 道雄 読み手:富田 美苗 時間:4分49秒

 或時、横須賀から東京に向う省線に逗子駅から乗ったことがあった。ところがその電車が非常に混んでいて、空いた座席が殆どなかった。丁度その時、どこかの 地方の青年団の人々が乗っていたが、その中の一人が、私の乗り込んだのを見てか「おい、起て起て」と言ったら、腰かけていた人たちがみな起ちあがって、私 たちに席を与えてくれた。
 もしその場合に、私が目が見えていたら辞退するのであるが、私は盲人なので折角の親切を無にしては悪いと思ったので、腰かけさせてもらった・・・

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