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宮城 道雄

春雨

読み手:横山 宜夫(2023年)

春雨

著者:宮城 道雄 読み手:横山 宜夫 時間:6分

 家の者が、「座右寶」に梅原氏の絵が出ていると言うので、私はさわらせて貰った。さわってみても私に絵がわかる筈はないが、それでもやはりさわってみたい。いろいろと説明を聞きながらさわっている中に、子供の時に見た絵を想像した。
 子供の時に見た絵を思い出してみると、主に人物で、景色の絵などはかすかである。私の前にお膳があるとか、茶碗がのっているとか、火鉢があるということがわかると、みんな見えているように思うが、それが昔見た想像である。しかし、さわってみてもあまり見当は違っていない。
 月とか、花とか、景色なども、少し見えていた子供の時のことを、今ではかえって美しく想像する・・・

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