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中谷 宇吉郎

紙の行方

読み手:菅野 秀之(2023年)

紙の行方

著者:中谷 宇吉郎 読み手:菅野 秀之 時間:5分6秒

 前の話で、家をもったら、紙の始末をどうするか、少し気になるという話を書いたが、その始末法はきわめて簡単にわかった。半分は棄て、半分は燃してしまうのである。
 前にいったように、新聞紙と、買物の時にくれる紙袋とが、心配していたとおりに、みるみるうちに溜って来る。しかし何も取越苦労をする必要はないので、こういう紙類などはどんどんさばけて行く。
 第一に、台所で出て来る残肴類であるが、それ等の始末に、紙が大いに必要である。裏庭に大きいブリキ罐があって、その中に残肴を棄てておくと、いつの間にか持って行ってくれるのであるが、それ等は一かたまりごとに、新聞紙で何重にも包み、汁が浸み出さないようにして、紙袋に入れ、きちっとした包みにしておく必要がある・・・

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