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北大路 魯山人

海の青と空の青

読み手:横山 宜夫(2023年)

海の青と空の青

著者:北大路 魯山人 読み手:横山 宜夫 時間:12分10秒

 春の海はひねもすのたりのたりとしているそうである。
 夏の海はつよい太陽の光をはねかえして輝き渡る。海も光るが、沖の一線にもくもくと盛り上った入道雲も輝く、空も輝く、海に遊ぶ人々の肌も輝く。
 秋の海は、夫を失った夫人のたたずまいのようにさびしい。
 それから、冬の海は、かたくなに黙っているかと思うと、時たま心の底から怒りを発した如くに怒号する。逆浪は光をかんで暗黒の空に星影はなくとも、高波のしぶきは、瞬間の幻のように岩にくだけ、天にそそりたつ。
 春秋の海底には、かぞえ切れない魚類の世界がある・・・

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