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グリム兄弟  矢崎 源九郎

麦の ほ

読み手:堀口 直子(2024年)

麦の ほ

著者:グリム兄弟/矢崎 源九郎 訳 読み手:堀口 直子 時間:3分7秒

 むかし むかし、神さまが、まだ じぶんで、この世の中を、あるきまわっていらっしゃったころの おはなしです。
 そのころは、こくもつが、今よりも ずっとずっと よく みのりました。麦のほも、五十や六十 ばかりではありません。四百も五百も ついていました。なにしろ、くきには、麦のつぶが、上から下まで びっしり ついていたのです。くきが ながければながいほど、それだけ、麦のほも ながかったのです。
 ところが、人間というものは、あんまり ものがたくさんあると、神さまが おめぐみをくださることも、つい わすれてしまいます。ありがたいとも おもわなくなって、いいかげんな かるはずみなことをしてしまいます。
 ある日のことです。女の人が、子どもをつれて、麦ばたけのそばを とおりかかりました・・・

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