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宮沢 賢治 作
読み手:福井 一恵(2024年)
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くらかけの雪
たよりになるのは くらかけつづきの雪ばかり 野はらもはやしも ぽしやぽしやしたり黝んだりして すこしもあてにならないので ほんたうにそんな酵母のふうの 朧ろなふぶきですけれども ほのかなのぞみを送るのは くらかけ山の雪ばかり (ひとつの古風な信仰です)
(一九二二、一、六)