閉じる

閉じる

小川 未明

朝の公園

読み手:成 文佳(2024年)

朝の公園

著者:小川 未明 読み手:成 文佳 時間:7分48秒

 それは、さむいさむい朝のことでした。女中のおはるは、赤いマントをきた、小さいお嬢さんをつれて、近くの公園へあそびにきました。そこはもう、朝日があたたかくてっていたからです。公園には、ぶらんこがあり、すべりだいがありました。もう子供たちがあつまって、笑ったりかけたりしていました。
 小さなお嬢さんは、ひとりであそんでいました。おはるはベンチに腰をかけて、もってきた少女雑誌を読んでいました。いなかにいるときから、本を読むのがすきでありましたので、こちらへきてからも毎月のお小づかいの中から雑誌を買って、おしごとのおわったあととか、ひまのときにはとり出して、読むのをたのしみにしていたのであります。
 いま、おはるは、その雑誌にのっている、少女小説をむちゅうになって読んでいました・・・

Copyright© 一般社団法人 青空朗読. All Rights Reserved.