宮沢 賢治 作 春と修羅 休息読み手:齋藤 こまり(2024年) |
休息
そのきらびやかな空間の
上部にはきんぽうげが咲き
(上等の butter-cup ですが
牛酪よりは硫黄と蜜とです)
下にはつめくさや芹がある
ぶりき細工のとんぼが飛び
雨はぱちぱち鳴つてゐる
(よしきりはなく なく
それにぐみの木だつてあるのだ)
からだを草に投げだせば
雲には白いとこも黒いとこもあつて
みんなぎらぎら湧いてゐる
帽子をとつて投げつければ黒いきのこしやつぽ
ふんぞりかへればあたまはどての向ふに行く・・・