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滝 廉太郎

「四季」緒言

読み手:手塚 未紗(2024年)

「四季」緒言

著者:滝 廉太郎 読み手:手塚 未紗 時間:2分7秒

 近来音楽は、著しき進歩発達をなし、歌曲の作世に顕はれたるもの少しとせず、然れども、是等多くは通常音楽の普及伝播を旨とせる学校唱歌にして、之より程度の高きものは極めて少し、其稍高尚なるものに至りては、皆西洋の歌曲を採り、之が歌詞に代ふるに我歌詞を以てし、単に字句の数を割当るに止まるが故に、多くは原曲の妙味を害ふに至る。中には頗る其原曲の声調に合へるものなきにしもあらずと雖も、素より変則の仕方なれば、これを以て完美したりと称し難き事は何人も承知する所なり・・・

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