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新美 南吉

ひとつの火

読み手:緒方 朋恵(2013年)

ひとつの火

著者:新美 南吉 読み手:緒方 朋恵 時間:3分22秒

 わたしが子どもだったじぶん、わたしの家は、山のふもとの小さな村にありました。
 わたしの家では、ちょうちんやろうそくを売っておりました。
 ある晩のこと、ひとりのうしかいが、わたしの家でちょうちんとろうそくを買いました。
「ぼうや、すまないが、ろうそくに火をともしてくれ。」
と、うしかいがわたしにいいました。
 わたしはまだマッチをすったことがありませんでした。
 そこで、おっかなびっくり、マッチの棒のはしの方をもってすりました・・・

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